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おざっちの笛吹き日記

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歌劇なるものを初めて見た

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ミュージカルは見たことあるけど、歌劇というものを初めて見た。歌劇「竹取物語」。
いつも通っているジムの真正面がびわ湖ホールなのだが、この壁面に大きく、歌劇「竹取物語」の垂れ幕がかかったのは、三か月ほど前。見れば、かぐや姫を演じるのが、日本を代表するプリマドンナ、幸田浩子さんだった。すばらしいソプラノを聞かせるのはもちろんだが、彼女の持つ雰囲気が暖かで、ラフォルジュルネで聴いて、いっぺんにファンになってしまったのだ。
ストーリーも分かりやすく、主演が幸田さんということで、即チケットを買ったのであった。
しばらくしたら、チケットは完売したとのことで、やはりこの創作歌劇の人気のほどがうかがわれた。

早目にジムへ行き、小一時間ほど体を動かし、シャワーを浴びてからホールへと急いだ。ああ、早く見たい聴きたい「竹取物語」!
指定席は二階で、ステージからやや遠い位置だった。持ってきた双眼鏡をセットし、開演を待った。ざわついていた場内がシーンとし、暗転。全面に紗のかかった向こうに、竹藪が再現され、翁が歌う。そして光る竹を見つけ、その中から赤ん坊の声… と、ストーリーは竹取物語そのままをなぞっていく。作品を書き、指揮も担当した沼尻竜典さんの制作ノートには、この昔話をオペラにする苦労が述べられている。千年以上も前に書かれたものとはいえ、細部まできっちりと描写されているオリジナルは、舞台にするには非常に難しかったとか。

やがて、美しい娘に成長したかぐや姫が登場する。おお、ついに幸田さんの姿を見ることができるのだ。赤いベベ着て、舞台の真ん中で歌い出すかぐや姫。なんて美しいんだ!そしてかぐや姫に言い寄る男たちとの掛け合い。場内に響き渡る幸田さんの美声。美しい弱音。耳を圧迫されるようなフォルテは、もう完全に身をゆだねてしまうようなすばらしさ。

すべてが終了し、出演者全員がステージに並ぶ。鳴り止まない拍手。いや~、素晴らしいものを見たという満足感に、ホールを出てからも夏の暑さを忘れてしまったのだった。
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by ozawa-sh | 2015-08-09 22:41