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おざっちの笛吹き日記

ozatti.exblog.jp

会社の資料室の本棚に、面白そうな本があったので借りた。尺八の製作方法や、歴史などについて書かれてある。本を著した人は、なんと会社から歩いて10分ほどにある工房の主。以前からなんとなく気になっていたのだが、こんな本も出していたとは。
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尺八が縦に吹くのに対して、フルートは横に構えて吹く、という演奏スタイルの相違はあるが、発音原理が同じエア・リード楽器。読めば読むほど興味深い話が書いてあった。なんといっても、フルートは最初から精密な設計図に沿って製作されるから、手作業がほとんどとは言え、工業製品的な色彩が濃い。対して、尺八は自然に生えている真竹を切ってきて、それを加工していくものなので、ひとつとして同じものはない。一応設計図があるものの、小さめの穴を空けたら、後は製作者が吹きながら音程を合わせていく。だから、音が低かったら、竹の面に対してやや上に向けて穴を広げていくんだとか。また、断面が真円ではないし、厚みも一定ではない。材質もそれぞれ異なるので、最近は音響測定機器を導入しているそうだが、やはり職人の経験と勘が頼りの世界だ。


日本の伝統的な音楽と、西洋のそれとの大きな違いは、楽譜のありなし。日本は師匠から弟子へと「稽古」を通して覚えていく。これに対して西洋音楽には楽譜があり、グーテンベルクの印刷術発明と相まって、誰もが標準化された音楽を奏でることができるようになった。しかし、流派によっては楽譜を使うところもある。
また、尺八を吹くことは、それ自体が修行であり、西洋音楽がステージ上、あるいは教会で聴衆に聞かせるのとは全く異なる。
尺八と言って思い浮かぶのは、深い編み笠をかぶる虚無僧の姿だが、あの編み笠というのは顔を隠すためのものではなく、自分に集中するための修行の道具なんだとか。元々は禅宗の一派で、半僧半俗といった一種アウトロー的な存在だったようだ。
尺八という名前は、一般的なものはその長さが一尺八寸あったからなんだそうだ。竹を切っただけのシンプルな構造だが、音を発する歌口の部分は、水牛の角を削ったものがはめ込まれている。「メリハリをつける」という言葉があるが、あれは尺八で半音を出すときに、アゴを上げ下げする動作を指す。


「ムラ息」という、フルートではやらない吹き方があって、風の中で揺れる音、みたいな感じの吹奏法のこと。また、「ユリ」というのは、つまりビブラートのことだが、尺八の場合、縦に揺らすやり方と、横に揺らすやり方がある。縦の場合は、音程が上下するし、横の場合は強弱がつく。
とまあ、構造はシンプルなのに、実に奥の深い楽器が尺八だ。ちょっと吹いてみたいぞ!
あ、そういえばチェンライに行った時、フレームを竹で作ったバイクが置いてあったなあ。(と、音楽ネタから強引に自転車ネタに持っていくところがおざっちの才能である)
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ということで、今日は「竹」ネタでした。
by ozawa-sh | 2011-04-19 21:46