おざっちの笛吹き日記

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もうひとつの「劔岳 点の記」

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プオ、プオオーン!!
金曜の夜からオジサンの山仲間4人と、立山に登ってきた。天気は荒天で、最悪だったが、雪渓や雄大なカールを見られ、まさしく「北アルプス」を堪能した山旅となった。


当初ボクはバカなことにどこへ行くのかもよく知らず、車の中で「、、、で、今回はどこの山に登るんですか?」と尋ねる始末だった。どうやら3000m級の高山に行くらしく、この時点で空ばかりでなく、心の中にも暗雲が垂れ込めたのであった。しかも合羽を忘れてきたのが、痛恨のミスであった。「ハイキングに毛の生えた程度」と思いこんでいたので、その用意もしなかったのである。


夜中の北陸道を走り、富山電鉄の「立山駅」前に深夜投宿。少しビールを飲んだりして就寝した。翌朝、外は雨。とりあえず高さ350m「称名の滝」を見に行く。三段に落ちる滝は、迫力十分。落下する水が巻き起こす風が我々を濡らす。
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一旦車のところに戻り、当初は「大日岳」を登るはずだったのを変更し、立山連峰の最高峰「大汝山(おおなんじやま3015m)」と「雄山(おやま3003m)」を目指すことにした。そして今映画でやっている「劔岳(つるぎだけ2999m)」が見られればいいなあということになった。いずれにせよ、3000m前後の高度を行く本格的な登山となり、ボクは軽装備しか用意していなかったことを後悔した。わずかに一本の通勤用の折り畳み傘と、自転車用のジャケットが頼りという、まことに情けない装備しかなかった。


ケーブルとバスを乗り継ぎ、「室堂」へ行く。ここから今日の宿泊地、「劔御膳小屋」を目指した。まずは「雷鳥沢」のテント村を過ぎ、徐々に登りに入っていく。
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目の前にはとんでもなく大きな山塊がそそり立っていて、我々を圧倒する。山の稜線上には小さく建物が見え、あそこまで登ることになると思うと、気が遠くなった。岩場を一歩一歩登っていく。
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徐々に景色が広がってきて、先ほどのテント村もカラフルなテントが針の先のように眼下に見えるようになってくる。やがて雨が降り出し、ボクは傘を差しながら登る。他の人達はかねて用意の合羽を着る。ボクも合羽は持っているのだが、まさか今回必要になるとは思ってもみなかった。


登り始めて3時間後、ようやく山小屋に到着した。雨はますます強くなってきており、明日はどうなるのかと、暗澹とした気持ちになった。しかし時々「劔岳」が、そのギザギザの稜線を見せていた。もう見るからに厳しそうな山に見えた。小屋に入ろうとすると、そこには昔カヌーをやっていたサエキ君がいるではないか。彼とは国体や全日本でよく一緒になった仲。「今日はNHKの録画撮りがあって、その手伝いです」とのこと。聞けば「プロフェッショナル」という番組で、山岳救助隊員のドキュメント番組をやるらしい。彼と久々の再会を喜び合った。


部屋に入る。するとそこには床一面にフトンが敷き詰められており、枕が30センチ間隔で並べてあった。一瞬、「え!!」と目が点になった。
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もしこれだけの人数がここに寝たら、横向きになって一晩を過ごさねばならない。他の部屋もすべて同じような状態であった。しかし、夕方4時頃になり、ほとんどの宿泊客が入ると、部屋は半分くらいの人数が入るのみとなり、十分に「大」の字になって寝られることができた。同行した人の話では、「おざっちさん、甘い甘い。ひどい時には畳一畳に4人でっせ。横になれへんし、柱に寄りかかって寝たこともある」とのことだった。しかしトイレも目がシカシカするほど臭い、綺麗にはしてあるが、ボクにはちょっとたまらなかった。フトンもこのところの天気でジトっとしていた。しかし、この小屋の食事はかなり良く、おかずまでおかわりができたのは良かった。


隣り近所のイビキで眠られぬ夜を明かした。外は雨。しかも我々が到着した日に、劔岳で60歳の女性の滑落死亡事故があったとのこと。天気予報では、今日一日荒天ということだったが、とにかく行くしか選択方法はなく、6時くらいに小屋を出た。目指すは「雄山」、途中で最高峰の「大汝山」にも寄るとのこと。合羽もなく、どうなることかと思った。同行したKさんの持っていた買い物袋に穴を開け、それをかぶることにした。いきなり風雨が強い中を歩き始める。手に持った傘は横殴りの風に負けないよう、常に角度を変えねばならなかった。すぐに足下が濡れてくる。もう最悪のスタートが切られた。


岩場を歩き、いくつかのピークを過ぎて、ついに「雄山」が見えた。しかし、なんと目と鼻の先の岩場を登り、社に詣でるだけで500円の入場料が必要ときた。しかも、登ってもなにも見えないから登る気も起きなかった。雨は相変わらず降り続く。そんな中でも登山客は引きも切らず状態だった。皆しっかりした合羽を着ている。ボクときたら、「SATY」と書いたビニール袋をかぶり、折れそうな傘をさしている。風でバタバタ言う。もう自分が情けないだけで、楽しいこともなんともなかった。
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雄山のピークを過ぎ、岩場を下っていく。尾根筋は猛烈な風が吹き、いつ傘が飛ばされるかもうヒヤヒヤものであった。これが無くなったら、頭から雨をかぶることになり、それこそ先日の北海道の登山事故の二の舞になりかねない。きつい岩場も傘にしがみつくようにして登るしかない。装備の重要性を身にしみて感じた。


眼下には残雪と雄大な谷間がひろがっている。あまりの大きさにスケール感が分からない。
↓この尾根を歩いてきたんだと思うと、ちょっと達成感があった。
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晴れたら本当に素晴らしい景色であろうと思う。少し日が射す場面もあったが、また雨模様となり、心が折れそうになる。昨日の山小屋といい、この山行といい、ボクは山男にはなれないと思った。しかし体はまったくしんどくなく、寒くもなかったのが救いだった。やがて眼下に「室堂」の屋根が見えてきて、急勾配のガレ場を下っていく。もう少しでこの山行も終わりだと思うと、心底ホッとした。それにしても、こんなにミジメな登山は初めてだった。
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しかし、雪渓を横切り、高山植物に目をやるうちに、段々と今回の登山が名残惜しくなってきた。室堂からのバスの中、昼食のオニギリをほおばりながら、「また来るで!」と心に誓ったのであった。
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Commented by エミコ at 2009-08-02 23:49 x
無事のご帰還なによりです!

昨日~今日の天気は警報出まくりの最悪の状態だったので心配していたのですが、思ったより稜線の景色も開けていていますね。
本当に最悪な日は霧で真っ白(-_-;)で何処をあるいているのかわからない様な時もありますよ!
それにしても合羽を忘れるのは痛恨でしたね(T_T)
私達はどんな低山に登るときも必ず携帯します。
いつも用心しすぎていつも重たいザックを背負う羽目になるんですが
合羽だけでなく他の非常用品も使用せずに下山できるのは嬉しいことなので後悔はしません。

でも、これで登山嫌いにならないで下さいね♪
一度、機会があれば一緒に極楽登山?へ行きましょう(#^.^#)

PS・・・・今、SATYの袋の写真を見た主人が横で大爆笑してます!
Commented by たっちゃん at 2009-08-03 00:02 x
いや~、SATYから年間割引券か何か送ってもらえそうですね。
写真でみると、許せる範囲の天候に見えますね。まずはご無事でよかったよかった。このあたり、若い頃は毎年五月に山スキーで滑ってました。懐かしいです。
Commented by taketon25 at 2009-08-03 05:32
山行きは天候によって印象が大きく変わりますからねえ・・
晴れていれば雄山からの眺望も最高だったのでしょうけど。
山小屋もハイシーズンに行くと写真のような感じが普通なので
私はそれがいやで日をずらして行ってましたけど・・
それにしても合羽なしでご無事でなによりでした。
Commented by だてポン at 2009-08-03 16:42 x
あ~ もうおざっちサンてばおもしろすぎます!!
折りたたみ傘&SATYで こんな山を登るハメになるとは、
痛恨の連絡ミスですね~(笑)

でも、笑い話になるのも無事戻られたからこそ。
ホントよかったよかった。

それにしても雄大な景色ですねぇ。わたしも山に登ってみたくなりました!
手始めに 大文字くらい登ってみようかな~
Commented by 8田 at 2009-08-03 20:19 x
昔スノーボードしに訪れてました。
サティで3000M級に挑む隊長に神々しさを感じました。
さすがや!
Commented by ごっち at 2009-08-03 21:22 x
あははははははは。SATYの袋、おざっちさん着れるようなサイズあるんや!!
んもう、大雪山系の遭難者予備軍みたいなことしてますやん。しかし意外でしたね、おざっちさんでもそんなミスするんやねぇ。
で、その雪!!汚いけど短そうやけど滑りたい!!
Commented by じゃねっと at 2009-08-03 21:30 x
最初朝の通勤電車の中で文章だけを読み、おざっちさんの情けない姿を想像して、思わずにやけていたのですが、今改めて写真を見て、

ゴメンナサイ。涙が出るほど笑ってしましました。。。。。


がははは~~~~~~~~~っ♪


どこに行くかも知らずに雄山に大汝山とはそりゃ~驚かれたことでしょう♪ワハハ。目がシカシカするトイレ・・・まさにそーですねそのとおり。


それにしてもやっぱり素晴らしくスケールの大きな景色ですよね。おざっちさんなんか体力有り余るほどあるんだし、これに懲りずまたいろんな山に行ってみてください。合羽とザックカバーも一緒にね♪

それにしても滑落事故はおそろしいですねえ。。劔岳でビビッた感覚が蘇って背筋が寒くなりました。。。
Commented by おざっち at 2009-08-03 23:06 x
皆さん、コメントありがとうね。
今朝、出勤前に合羽をタンスの奥から取り出して点検してみました。
日本製の結構な値段のした合羽でした。次回からはこいつを必ずザックの仲に入れて行きます。
ザックカバーも欲しいんだけど、ボクの持っているモンベルのデイパックは、カバーがはめられない構造になっているので、ひとつ買わないといかんなと思ってます。
それにしても、皆さん劔を登っているんですね。
「カニの横這い」とか「カニの縦這い」とかいう恐ろしいコースがあるらしいですね。怖がりのボクには無理です!
Commented by かわSM at 2009-08-04 08:36 x
ちなみにその軍手はBE-PALの付録ですか?
Commented by おざっち at 2009-08-04 12:18 x
かわSMさん>ピンポーン! アタリどす。
創刊号以来の愛読者。 ボクの聖書。
by ozawa-sh | 2009-08-02 23:16 | Comments(10)

フルート大好き!そのために感性を磨き、体力をアップし、日々努力。そんな毎日を書き綴っていきます。


by おざっち