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おざっちの笛吹き日記

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音が立ち昇る

午前のランニングを終え、昼食後はびわ湖ホールへ出かけた。もちろんなぎさ公園を通って自転車で。時間ギリギリに到着し、汗を拭き拭きロビーへと急いだ。すでに満杯の客席は、ハゲか白髪の高年者ばかり。そりゃ平日のこんな時間帯に聞きに来るなんて、定年後のヒマを持て余している人か、たまたま平日が休みの人に限られるわなあ。
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さて、今日の出し物は「雅楽」。演奏するのは、多賀大社を本拠地とする、「滋賀雅楽会」のメンバー。曲目は、「越天楽(越殿楽)」と「蘭陵王」のふたつ。ロビーには典雅な舞台がしつらえられ、やがて奏者がしずしずと登場した。しばらく説明があり、演奏が始まった。
「ピョ~~ォォ」と、なにげなく鳴り始める「笙(しょう)」の響き。西洋音楽のハッキリした始まり方と違い、まるで霧の中から音が立ち昇る感じ。やがて各種の「鼓」がト~ン、ト~ン、トトンなんて感じで、呼応する。さらに「竜笛」も、ヒョ~ロリロリ~とかぶさってくる。「吹物「打物」「弾物」、このみっつが、絶妙のアンサンブルを奏でる。西洋音楽の「平均律」でカチッと固められた音とはまったく異質の、不協和音が心地よい圧倒的な音のイルージョン。なんなんだ、この混沌とした音の宇宙は!?

ところで、皆さん、会議のことなんかを「打ち合わせ」って言うでしょ?この言葉は、雅楽から来てるんです。鞨鼓(かっこ)という小鼓を横にしたような楽器が打つ音に他の楽器が合わせるところから、この言葉ができたそうな。久々に出た~! 「読めば賢くなる 漕ぎコギ日記」(笑)
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さて、越天楽が終わり、次の出し物は「蘭陵王」という舞の入った舞楽。まるでインドネシアやタイなどの舞踏を思わせる仮面をかぶった舞人がシズシズと登場し、実にゆっくりとした舞を見せる。これもすごく良かった。

ところで、ここ滋賀県にはかつて250ものこういった雅楽アンサンブルがあったそうだ。笛の材料となる煤竹、リードの材料となるヨシ、そして木之本で作られる糸。こういった材料がすべて県内で手に入ることも、盛んだった理由である。このグループでは、そういった戦前のにぎわいを是非再現したいということで頑張っているのだとか。
ボクは以前から和笛に興味があり、一度吹いてみたいと思っていたので、こういった説明を興味津々で聞いていた。

演奏がすべて終わり、再び自転車に乗って帰宅の途に。広々とした琵琶湖の向こうには白く雪をかぶった比叡山や比良の連峰が連なり、渡り鳥が水面にユラユラと浮かんでいた。滋賀県、大好き!
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by ozawa-sh | 2013-01-16 20:51