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おざっちの笛吹き日記

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竹田城跡へ ~銀の馬車道を行く~

二日目 夕べからの激しい雨。しかし、朝食を摂りながら、周囲の山にかかる雲が、山腹に沿って上昇しており、今日は回復傾向にあると予想できた。 今日のメインは、「生野銀山」見学。その途中に、往年の名俳優「志村喬」の生家があり、できればそこも訪れたい。「銀山と銀幕のスター」、、、ちょうどいいではないか。
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ホテルを出発し、まずは「新野の水車群」を見に行くことにした。播但線に沿って南下すること二駅。駅前の田園地帯を流れる水路に、直径3mほどの水車が並んで回っていた。花が植えられた遊歩道を歩きながらこれらを見ることができる。水車は水路から田圃に水を揚げるためのものだが、やがて動力で揚げるようになり、一時はすたれたらしい。それを復活させ、貴重な遺産として残していくとのこと。 「ギ~」というきしみ音を出しながら回る水車の数は現在10基ほどだが、水路に沿って次々と現れる様は、なかなか見応えがある。見ていると、汲み上げた水は、再び水路に戻していたが、田植えの季節などにはまだ現役として活躍する場が与えられているのだろう。こんなアナログな技術だが、見る者をとても癒してくれる。近くの水路には今が満開の「梅花藻」が白い花を咲かせながら揺らめいていた。
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生野銀山へと走る。予め作ったファイルとナビのおかげで、まったく心配なく走ることができる。国道から右折し、生野の町へと入る。ここは銀山で栄えた町で、その一角に志村喬の生家がある。代表作に「七人の侍」があるが、志村は黒沢監督と馬が合ったらしく、黒沢作品に多数出演している。生涯出演本数が400本を超えるとのことだ。彼の父親は、生野銀山の取締役として、町の名士であったらしい。移築した官舎は、実に素朴な作りで、ここに志村が生を受け、やがて中央の映画に出ていったことが不思議な感じがした。
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生野銀山に到着。ガイドが付き、地下へもぐる。江戸時代は幕府の直轄地として繁栄を極めたらしいが、地下の堀跡となる穴はとても狭く、石工はここに一日籠ってノミと金槌で作業していたらしい。菜種油の明かりだけが頼りの、劣悪な環境だったため、ほとんどの石工は短命だったのだとか。また、落盤事故も多く、「え、こんなところに入っていったの!?」というような斜めの延々1キロに渡る穴を見ることもできた。銀を得るという、人の欲望が、こんな過酷な労働をも可能にしたのだろう。
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さて、ここ生野銀山からは、採れた銀を馬車で運んだのだが、そのための専用の道が、瀬戸内の「飾磨港」まで作られた。その展示館に立ち寄ってみた。しかしほとんどが国道などになってしまい、わずかに脇道として残されているのみなんだとか。あわよくばここをMTBで走れないだろうかと思っていたのだが、今となっては無理のようである。この道は「銀の馬車道」と呼ばれ、ロマンをかきたてる。
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↑「銀の馬車道」の一部を歩いてみた。適度に曲がりくねり、アップダウンを繰り返すこの道は、もし残っていたら、最高のMTBコースになっていたかも。惜しい!

当初は竹田城跡と生野銀山をメインに考えていた今回の旅であったが、歴史のある土地だけに、実際に行ってみると他にも様々な見どころがあり、いつか再び訪れてみたいと思った。
by ozawa-sh | 2012-04-27 21:13