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おざっちの笛吹き日記

ozatti.exblog.jp

若者たち

昨日は、我々が指導してもらっている先生の、生徒達による発表会、FIND FLUTE STAGE。FINDとは、「フルートを通じて何かを発見しよう!」という意味と、Find in new directions 「フルートの新しい方向性」という意味合いも込められているんだとか。場所は伏見の丹波橋駅前の呉竹文化センター。


家で最後の仕上げをし、会場に向かう。先日の還暦記念リサイタルで、ある程度ステージ慣れはしたと思うが、今回はほとんどの聴衆が仲間内と関係者なので、その点がちょっと緊張する。今回は約40名近くが出演するので、地下のリハーサル室は音の洪水状態になっており、自分の音がよく分からない中、とにかく音を出して調子を上げるようにした。


まずは個人の演奏から始まる。ステージの袖で順番を待つ気分は、かつてやっていたカヌースラロームの発艇を待つ気分と同じだと思った。ひとつひとつのゲートを一発勝負でクリアしていかなければならない。失敗は許されない。常に先を読んで、自分のイメージをカタチにしていく。
そして明るく照明されたステージへ。譜面台の前横に一歩踏み出し、ペコリとお辞儀をする。「お、完璧やん、ここまでは」と自分で自分を落ち着かせる。ピアノの前奏にかぶせるようにして、まずはピアニッシモでGの音を出し始める。曲はノブローという作曲家の「メロディー」という曲。ちょっともの悲しい、甘美でロマンチックな曲。なにかをイメージして吹けば、一層曲想も深まるというものだが(たとえは運命なら、運命が戸を叩く、みたいな)、失恋した後の絶望感と、その後のあきらめ、そして最後は自分を鼓舞する、、、みたいなイメージで吹くことにした。
しかし、練習では失敗したことのない音を飛ばしてみたり、音が上づったりで、80点くらいの出来でしか吹けなかった。でもまあ、皆に「良かったよ」と言われたので、まあまあだったかな。


最初はまったくの初心者から始まり、最後はプロ級の人達が吹いて、すばらしい演奏を堪能した。特に若者たちの演奏はすばらしく、終わってからの打ち上げで知ったのだが、オチ君という若者は、大学院を出て就職せずに今年の夏、フランスへ留学するんだとか。確かに彼が吹いたドゥヴィエンヌのコンチェルトは、超絶技巧曲と言われ、プロをもしのぐすばらしい出来だった。
自転車の世界でもそうだけど、若い人が伸びていく力というのはすごいし、ボクのような高齢者にも力を与えてくれる。芸術やスポーツというのは、見る者、聞く者に、そんな力を与えてくれる面も持っていると思った一夜だった。
by ozawa-sh | 2010-06-13 13:57